知識
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当事者や家族が相談できる公的機関
「部屋がゴミだらけで、もう自分ではどうしようもできない」「離れて暮らす親の家がゴミ屋敷になっていた」そんな時、羞恥心や罪悪感から誰にも相談できず、一人で抱え込んでしまう方は少なくありません。しかし、その孤独こそが、問題をさらに深刻化させます。あなたやあなたの家族をサポートしてくれる公的な相談先は、必ず存在します。まず、ゴミ屋敷の住人が六十五歳以上の高齢者である場合、最初に頼るべき相談先は「地域包括支援センター」です。市区町村が設置するこの機関には、保健師、社会福祉士、ケアマネジャーといった専門職が常駐しており、本人の心身の状態や生活環境を総合的に把握し、必要な介護サービスや医療、福祉制度へと繋いでくれます。相談は無料で、秘密は厳守されます。年齢に関わらず相談できるのが、市区町村の「福祉課」や「保健福祉課」です。生活保護などの経済的な支援や、精神的な問題を抱えている場合の専門機関への紹介など、生活全般の困りごとに対する公的なサポートの窓口となります。セルフネグレクトの状態に陥っている場合など、本人に支援を受ける意思がない時でも、粘り強く関わってくれる可能性があります。また、精神的な不調、特に「物を捨てられない」といった症状が強い場合は、「精神保健福祉センター」への相談も有効です。ここは心の健康に関する専門的な相談機関であり、必要に応じて医療機関への受診を勧めてくれたり、家族がどう本人と向き合えばよいかといったアドバイスもしてくれます。これらの公的な機関は、単にゴミを片付けるだけでなく、問題の根本原因にアプローチし、本人が再び安定した生活を送れるようにサポートすることを目的としています。勇気を出して電話をかけるその一本が、解決への大きな扉を開くことになるのです。