隣の家から漂ってくる異臭、日に日に増えていくゴミの山。平穏な日常が、すぐ隣にある「ゴミ屋敷」によって脅かされる時、多くの人は「どうすればいいのか」「誰に相談すればいいのか」と、一人で悩みを抱え込んでしまいます。しかし、この問題は決して一人で解決できるものではありません。安全かつ確実に問題を解決へと導くためには、正しい相談先と手順を知ることが何よりも重要です。まず、絶対に避けるべきなのが、感情に任せて直接、住人に苦情を言いに行くことです。善意のつもりでも、相手のプライドを傷つけ、逆上させてしまい、嫌がらせなどの深刻な近隣トラブルに発展するケースは少なくありません。相手が精神的な問題を抱えている場合、正論での説得は通じないのです。では、どこに相談すべきか。住居の形態によって最初の相談先は異なります。もし、問題の家がアパートやマンションなどの賃貸物件であれば、第一の相談先は「大家さん」や「管理会社」です。彼らには、入居者が安全で快適な生活を送れる環境を維持する責任があります。他の入居者からの苦情を元に、契約に基づいて住人に改善を求めることができます。一方、問題の家が一戸建ての持ち家である場合は、お住まいの市区町村の役所が相談窓口となります。「空き家対策課」や「環境課」「福祉課」など、自治体によって担当部署は異なりますが、まずは総合窓口に電話をし、「近所のゴミ屋敷の件で相談したい」と伝えれば、適切な部署に繋いでくれます。相談する際は、感情的にならず、客観的な事実を具体的に伝えることがポイントです。「いつから」「どのような臭いがするか」「どんな害虫を見たか」などを記録し、可能であれば写真や動画も撮っておくと、状況の深刻さが伝わりやすくなります。一人で悩まず、適切な第三者を介して冷静に対処すること。それが、あなたの平穏な生活を取り戻すための、最も賢明な第一歩となるのです。
隣のゴミ屋敷、どこに相談すればいい?最初のステップ