「マンション」の一室が「ゴミ屋敷」と化してしまった場合、その「退去」は、一般的な賃貸契約の終了とは比べ物にならないほど複雑で、多額の費用を伴う厳しい現実を突きつけられます。通常の賃貸契約では、借主は「善管注意義務」を負い、退去時には「原状回復義務」を履行する必要がありますが、ゴミ屋敷の場合、その損害が著しいことが多く、通常のクリーニングや修繕では対応しきれない範囲に及ぶため、その費用は想像を絶するものとなることがあります。ゴミ屋敷化したマンション退去時の最も大きな費用となるのが、「専門業者による特殊清掃費用」です。マンションの一室でゴミ屋敷状態になった場合、異臭が近隣住民にまで広がり、害虫が他の住戸に侵入するといった被害も発生しやすくなります。そのため、単にゴミを撤去するだけでなく、異臭の除去、害虫駆除、汚染された壁や床の撤去・張替え、時には建物の構造部分まで影響が及んでいる場合は、大規模な修繕が必要となることもあります。これらの作業は、通常のハウスクリーニングとは異なり、専門的な知識と技術、そして特殊な機材を要するため、その費用は高額になります。数十万円から数百万円単位の請求となるケースも珍しくありません。次に、「残置物の撤去費用」も大きな負担となります。ゴミ屋敷の場合、大量の不用品が残されていることがほとんどであり、これらを全て運び出し、適切に処分するための費用が発生します。特に、大型家具や家電製品、産業廃棄物に分類されるような特殊なゴミが含まれる場合、さらに費用は高騰します。これらの費用は、原則として借主の負担となりますが、マンションという集合住宅であるため、エレベーターや共用廊下を使用する際の養生費用なども発生することがあります。さらに、これらの費用に加えて、「賃料の損害」も請求される可能性があります。退去後の修繕や清掃に時間がかかり、次の入居者を募集できない期間が生じた場合、その期間の賃料相当額が損害として請求されることがあります。また、部屋の資産価値が著しく低下したと判断された場合、賠償請求の対象となることもあり得ます。ゴミ屋敷化したマンションの退去は、単に部屋を明け渡すだけでなく、高額な費用と複雑な問題を伴う厳しい現実です。
ゴミ屋敷化したマンション退去の現実と原状回復費用