親の家がゴミ屋敷と化している状況で、その親が亡くなり、あるいは認知症などで判断能力を失った時、「名義変更」が大きな「相続問題」を引き起こすことがあります。生前に名義変更が適切に行われていない場合、ゴミ屋敷化した不動産の処理は、遺された家族にとって計り知れない負担となるだけでなく、複雑な法的トラブルへと発展する可能性があります。これは、ゴミ屋敷が持つ見えにくい負の側面の一つです。まず、親が亡くなった後にその家がゴミ屋敷状態であった場合、その家は「相続財産」となります。しかし、ゴミ屋敷の不動産は、その価値が著しく低下しているだけでなく、清掃や解体、原状回復に多額の費用がかかるため、他の相続財産を圧迫する可能性があります。相続人全員で遺産分割協議を行う必要がありますが、ゴミ屋敷化している不動産は誰も欲しがらず、その処理方法を巡って相続人同士で意見が対立することが少なくありません。特に、負の財産とみなされる場合、相続放棄を検討する相続人も出てくるでしょう。次に、親が認知症などで判断能力を失った場合、親の財産を管理するための「成年後見制度」の利用を検討する必要があります。しかし、この場合でも、ゴミ屋敷化した不動産の売却や処分は、成年後見人の職務として非常に困難な作業となります。成年後見人は、本人の財産を保全する義務があるため、価値のないゴミ屋屋敷を容易に処分することはできません。また、不動産の名義変更は、本人の意思能力が確認できる時期に行う必要があり、認知症が進行してしまうと、その手続き自体が難しくなります。さらに、生前に親が不動産の名義を子に「変更」していた場合でも、問題が解決するとは限りません。親がゴミ屋敷化した状態で子が名義人となると、今度は子がその物件の管理責任を負うことになります。悪臭や害虫が近隣に影響を及ぼした場合、自治体からの指導や改善命令は、名義人である子に直接届きます。親がゴミ屋敷化した原因がセルフネグレクトや精神疾患である場合、名義変更だけでは根本的な解決にはならず、子が親の面倒と物件の管理という二重の負担を抱えることになります。ゴミ屋敷問題における名義変更は、家族間の責任、感情、そして将来の生活設計に深く関わるデリケートな問題です。親が元気なうちに家族で話し合い、専門家の助言を得ながら、適切な対策を講じることが何よりも重要です。