ゴミ屋敷問題の中でも、特に解決が困難を極めるのが、不動産の「名義人」が「不明」なケースです。所有者が誰であるか分からない、あるいは相続人が見つからないといった状況では、ゴミ屋敷が放置され続け、悪臭、害虫、火災リスクなど、地域社会に多大な悪影響を及ぼします。このような極めて困難な状況において、「自治体」と「弁護士」が果たす「役割」は非常に重要となります。まず、「自治体」の役割は、名義人不明のゴミ屋敷の問題を「発見し、情報収集を行う」ことです。近隣住民からの通報や、定期的な空き家パトロールなどを通じてゴミ屋敷の存在を把握します。その後、法務局の登記簿謄本や住民票などを確認し、所有者や相続人の特定に努めます。しかし、戸籍の追跡には限界があり、相続人が多数いる場合や、海外に在住している場合など、自治体だけでは名義人を特定しきれないケースも少なくありません。名義人が不明な空き家ゴミ屋敷は、「空き家対策特別措置法」に基づき、「特定空き家」に認定されることがあります。特定空き家と認定されると、自治体は所有者(名義人)に対し、改善命令を出すことができますが、名義人不明の場合、その命令の送達自体が困難となります。このような状況では、自治体は最終的に「行政代執行」を検討することになりますが、その費用は原則として所有者に請求されるため、費用回収の見込みが立たないという大きな課題に直面します。次に、「弁護士」の役割は、名義人不明のゴミ屋敷問題において、法的側面からの解決をサポートすることです。弁護士は、自治体が行う所有者調査に協力したり、法的な手続きを通じて所有者や相続人を特定したりすることができます。特に、相続人が多数いる場合や、関係性が複雑な場合には、弁護士が相続人調査や遺産分割協議の調整を行い、所有権を明確化することで、ゴミ屋敷問題の根本的な解決に繋がる道を探ります。また、弁護士は、「不在者財産管理人選任申立て」や「相続財産管理人選任申立て」などの手続きを通じて、所有者が不明な不動産を法的に管理する体制を構築する手助けをすることも可能です。これにより、物件の管理やゴミの処分などを法的に進めることができるようになります。名義人不明のゴミ屋敷問題は、自治体と弁護士が密接に連携し、それぞれの専門性を活かすことで、初めて解決の糸口が見えてくる困難な課題です。
名義人が不明なゴミ屋敷問題自治体と弁護士の役割